2009年12月26日

組踊「花売の縁」 2

塩屋港あたりの津波村まで来た乙樽と鶴松が一休みしているところへ猿引が登場します。
猿引と猿が登場したときに演奏される「大浦節(うふらぶし)」は小気味いいテンポで楽しい曲です。
猿引と猿が曲に乗って踊ります。
この後に猿が「大願口説(だいぐゎんくどぅち)」と「荻堂口説(をぅんじょうくどぅち)」「早作田節(はいつぃくてんぶし)」に乗って踊ります。この猿引と猿の場面が花売の縁を印象付けるポイントでしょう。
猿の役は体の小さい子供が演じるので観客は微笑んで観ています。無事演じきると拍手がおこります。
組踊立方の大先生方も子供の頃に猿役を演じた方が多くいらっしゃいます。

大浦節
まこと名に立ちゆる 塩屋の番所 中山やこしやて 港目の前に
沖の網舟の えいやえいや えいやえいやと 浜によせくるは
道いそぐ人も 立ちよどでききゆさ だんぢよ首里那覇も 音にとよむ
(まくとぅなにたちゅる しゅやぬばんどぅくる なかやまやくしゃてぃ みなとぅみぬまゐに
 うちぬあみふにぬ えゐやえゐや えゐやえゐやとぅ はまにゆしくるわ
 みちいすぐふぃとぅん たちゆどぅでぃちちゅさ だんじゅしゅゐなふぁん うとぅにとぅゆむ)

伊波普猷先生の「琉球戯曲集」ではこの曲の歌詞が一部違うのも興味深いところです。
「まこと名に立ちゆる 塩屋の番所 中山やこしやて 港前なち
 沖の真舟のえいやえいや 浜によよくれば 道急ぐ人も 
 立ちよどで見やべさ おまん人のまぎれ 首里那覇も音にとよむ」

次に白髭をたくわえた老人薪取が「オッホー、オッホー」の掛け声と伊計離節(いちはなりぶし)に乗って登場します。

乙樽「やあやあ薪取、尋ねぼしやあむぬ近く寄て賜れ」
(薪を置いて)
薪取「ああ、ぬをぅぐとぅがやゆら」

ここが世話物「花売の縁」の二番目のポイントです。

ここからの薪取の唱えはちちぐとぅです。
長めの詞で難しい単語が多いのですが老人の知性がにじみでるというか、とつとつと語る詞に聴き入ってしまいます。薪取でありながら知的な老人の雰囲気がいよいよクライマックスへと観る者を誘います。森川の子はどうなっているのでしょう?

乙樽 
「首里方の士森川の子てやり 三十に余る年頃の人の 此の浦に住てをんてやり聞きゆん いきやる有様になやりをゆが」
  「しゅいかたぬさむれむりかわぬしてぃやい みすじにあまるとぅしぐるぬふぃとぅぬ くぬうらにす   ぃまてぃをぅんてぃやいちちゅん いちゃるありさまになやいをぅゆが」
薪取 
「され、お尋ねめしやいる森川の子ことど 去年むちよなて迄や此の村の兼久に住まて居やべいたん・・(続きがあと数分)」
「さり、うたづぃにみしぇえるむりかわぬしいくとぅどぅ くずんちゅなてぃまでぃや くぬむらぬか   にくにすぃまてぃをぅやびいたん・・」 


続く



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Posted by takachiyan at 00:02│Comments(0)組踊
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