2013年02月19日

今風節

野村流工工四中巻の最後の曲今風節は屋嘉比工工四には伊平屋節と書かれているそうです。(屋嘉比工工四のことは次の機会に)
昔節五曲、大昔節五曲の中には入っていませんが、中昔節と言われ昔節と認識されているようです。

かたりたや かたりたや つきの やまのはに かかる までも
(謡い仮名 カタヰタヤ カタヰタヤ ツィチヌ ヤマヌファニ カカル マディン)

この歌詞は本調子仲風節、赤田風節でも歌われるおなじみの歌詞です。
他に違う歌詞が二つ工工四には載っています。

今風節の面白いところは囃しの言葉とその入れ方です。囃しを入れると、

サアヨウ カタヰタヤ カタヰタヤ ハイ ツィチヌ ヤマヌファニ ヨウティバ カカル ヨウ マ シツィユマティ ディン
メヌモヤ ハイ サシティンドウ ヨウ

とまあこうなりますが、初めて聞く人には全く意味不明に聞こえることでしょう。
カカルマディンを三つに切っていますが、これは古典音楽には良くあるやり方で仲風節や赤田風節もそうですが今風節は特徴的な曲調でこれが実に面白く感じます。意図的に切って歌を楽しんでいるのでしょうね。
シツィユマティとは節を待てつまり次の節を待てという意味に聞こえますね。ちゃめっ気を感じます。
メヌモヤ サシティンドウとは前にいるモーヤー(踊り手)が一差し舞うという意味でしょうか?

シツィユマティのティを伸ばして歌いますがそこの三線の弾奏がまた面白く 上老上老上老 と 声の音程もそれに合わせて四老四老四老と歌います。初めて演奏すると全く変な曲に聞こえますが、やればやるほど面白くなる曲です。遊び心満載です。

声を真っすぐ伸ばす直吟が多いのも特徴で伸びやかに歌い月が空に浮かんでいる情景が目に浮かびます。

歌いこなすには声量、息の長さ、発想等高い技量が要求されコンクール最高賞の課題曲になってます。

またこの曲は琴が入ると味わいが倍になります。どの曲もそうですが、今風節は特に感じます。



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Posted by takachiyan at 01:23│Comments(2)古典音楽
この記事へのコメント
大変ご無沙汰をしておりまして、申し訳ございません。
安冨祖流絃聲会のくうふうです。

すごく勉強になる記事をありがとうございます。
琉球古典音楽はなかなか資料が手に入れづらいので、わからないまでもこのような記事を目にすることができるのは、本当に有り難いです。

これからもいろいろとお教えください。
よろしくお願いします。

くうふう
Posted by くうふう at 2013年02月19日 19:39
くうふうさんご無沙汰してます。
またいつでも訪問してくださいね。
コメントにふぇーでーびる。
Posted by 福原 敬福原 敬 at 2013年02月19日 20:32
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